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「全くヒドい話だよなァ。うちの家族は鬼ばっかだ」
ぶつぶつと文句を言いながらナックは大きく深呼吸をする。森の空気は美味い。
「夢を探して来い、ねぇ・・・」
めんどくせ、と呟いたその時。
「ちょっと君、邪魔なんだけど」
「え?」
背後から突然人の声がし、慌てて振り返る。
「道の真ん中でボーっとしないでよ。危ない
でしょ」
声の主はメェガに乗った女の子だった。見た感じナックとそう変わらなさそうな歳だろうか。
「あ・・・メェガ」
俺もメェガに乗ってれば楽出来ただろうなぁ。とナックは思う。
メェガとは主に運搬用に使われているヤギに似た顔を持ち、鳥足を生やしている動物である。普段は大人しく「メェー」と鳴いているが、一度メェガが本気モードになれば、そのスピードは恐ろしく速い。人懐っこい性格から、メェガをペットとして飼う者も多い。
「後ろから来たメェガに踏み潰されたって話も無くはないんだから気をつけてよね」
と、女の子は言うと、メェガに進むよう言うと颯爽と去っていった。
「ズリーなぁ、メェガ」
女の子の去った方を見つめ、ナックは溜息をつくとまた歩き始めた。
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