第1章 怒れる竜の襲撃

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500年前、この地は数多くの人間と巨大なドラゴンたちで溢れていた。 この頃の人間とドラゴンはお互いに理解し、一緒に旅をしたり、一緒に仕事をしたり、一緒に暮らしたり、一緒に寝たり…と共同生活を営んでいた。 この頃のドラゴンはとても優しく、心が豊かで今のように獲物を食い散らかしたりヨダレを垂らしたりなどをするような不潔なドラゴンでなく、人間同様に扱われていたため毎日ドラゴン専用の巨大な風呂につかり、体を洗い、歯をみがき、食事もその時は発達していた前足で人間同様に食事をとっていた。 ドラゴンは人間同様に扱われるため、差別もなく、罪を犯せば牢獄だったが牢獄に入れられても牢獄を破壊し、脱出するようなドラゴンは居なかった。 もちろん人間にもそんな者は居なかった。 それほど心が豊かで優しい人間とドラゴンだったのだ。 今とは違い、世界の一ヶ所にとてつもなく巨大な王国をつくり、ほとんどの人間とドラゴンはそこで暮らしていた。 もちろん王国外の今とは比べ物にならない程綺麗な、広大な自然に住む人間やドラゴンも居たが、王国を治める王はそれを快く許可した。 その王の名は…誰も知らなかった。 王は度々人々やドラゴンの前に現れるが、本当の名を言うことは無かった。 しかし、王はアルドと呼べ、と繰り返していた。 そのアルドは人間ではなく、青空のような澄んだ蒼の体を持つ巨大なドラゴンであったが、そのドラゴンの目は優しさに溢れていた。 もちろん王国が心が豊かで優しい人間とドラゴンに溢れていたのは、アルド自身が心が豊かで優しく、国民のことを第一に考えてくれるドラゴンだったからである。 そんな心優しきドラゴンの王が治める王国は、貧しい人間やドラゴンは王の支援により裕福になり、王は誰かが金持ちになることを許さず、全ての人間もドラゴンも幸せに暮らせるくらいの裕福にそろえ、平等にした。 もちろん王も普通に買ったまわりと変わらない普通の家に住んでいた。 一際目立ったり大きい宮殿ではなく、普通の家に住むことで国民は王も友達、となり平等で滅多に争いが起きない皆が笑顔に満ち溢れる王国になった。 しかし、その間にも王のそんな心が優しいことを裏目にとって王国から逃亡し、今のドラゴンの王に不満を持つニンゲンや、ドラゴンが王ということが納得がいかないドラゴン…と何かしらの恨みや因縁を持ったグループが王国から遥かに離れた辺境にアジトを構えていた。
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