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アジトでは王国でのルールとは全く逆のルールで生活することを強いられた。
例えば、ドラゴンは人間同様に扱われてはいけない、人間のような下級生物は見下すべき、人間のように清潔でいてはいけない、ドラゴンは汚くて、凶暴ではじめてドラゴンと呼べる、などのルールがあり、アジトに住むドラゴンは日増しに凶暴化し、野性味溢れる汚いドラゴンへと化した。
ときたま王国から逃亡してきた一部のドラゴンや、無理矢理仲間にされた野生のドラゴンはそのルールに反抗したが、そのようなドラゴンはヒューマンドラゴンと呼ばれて非難され、仕舞いには殺された。
一方人間は…そのルールのせいでドラゴンに逆らえなくなり、奴隷と化した。
このアジトを治める者…それは自らを破壊と殲滅の化身、ガルドと名乗る王国を治める王のドラゴンとさほど大きさが変わらない、全身をマグマのような真っ赤な鱗に覆われ、その瞳は憤怒と怒りを燃やすような紅の巨大なドラゴンであった。
ガルドはアジトに集まるドラゴンに一匹につき一人の人間を奴隷として貸出し、ドラゴンは各自与えられた部屋で毎日奴隷の人間に食事を作らせたり、掃除をさせたり、自分の体を洗わせたりとこき使った。
中には奴隷だということを良いことに、ストレス解消として奴隷の人間の嫌がること…例えば自分の排泄物の始末を無理矢理やらせたり、蹴ったりしてもてあそぶドラゴンが続出した。
中には人間に興味があるのか人間を舐め回してみたり、食べてみたりというドラゴンも増え、死んでいく奴隷の人間が増えていった。
しかしガルドは、奴隷が死んでも何も言わなかった。
いや、むしろドラゴンが残虐で、汚くて、凶暴でおぞましい本来のドラゴンになっていくのが計画通りだったのか奴隷が死ぬたびに不適な笑いをこぼしていた。
そして、その報告をしたドラゴンに再び奴隷として人間を渡し、そのドラゴンはまた自室で人間を虐め、もてあそび、そうしてまた死んだと報告する。
ガルドはドラゴン一匹にそれぞれの密室を与え、奴隷の人間を置くことでドラゴンが本来の姿を取り戻すことを計画していたようだ。
人間を虐め、もてあそぶ回数が多い程ドラゴンは強く、残虐になり、ガルドの信頼の的になった。
一方、人間を虐めない…むしろ一緒に仲良く密室で暮らすドラゴンはと言うと、ガルドが邪魔なドラゴンとして扱い、人間を虐め、もてあそびすぎて飽きてしまった凄まじく残虐で最強クラスのドラゴンにその邪魔なドラゴンを奴隷として与え、その最強クラスのドラゴンは益々強くなっていった。
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