第1章 怒れる竜の襲撃

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そして…とうとう歴史が変わる日がきた。 ガルドが率いる抵抗軍はこの日になる間に数多くの最強クラスの残虐なドラゴンを育成させ、数多くの奴隷の人間を戦場での食料とするために引き連れて、アジトを出発した。 一方…王国は今日も心地よい一日が始まろうとする頃、アルドの家に激しいノックが響く。 アルドはノソノソと起き出し、扉を開けて眠そうな目でやってきた従者の話をきく。 『て…抵抗軍が!!凄まじい数の抵抗軍のドラゴンがこちらに向かってます!!!』 その瞬間アルドは目を見開き、パジャマ姿のまま家を飛び出ると数少ない魔法を使えるドラゴンの元へと向かった。 魔法を使える、と言っても攻撃的なことは出来ない。 攻撃的な魔法は闇魔術と呼ばれ、何千年も前に滅んでいる。 アルドは魔術が使えるドラゴンの元につくなり、事情を説明した。 その事情を聞いたドラゴンは、大きく頷くと、分厚い魔法書を開き、何やら唱え始めた。 それが終わると、アルドはすぐさまそのドラゴンの家から出ると、空を見上げた。 空には…目をこらさねば分からないが確かに紫の幕が、バリアが貼られていた。 アルドは一先ず安心すると、王国一巨大な広場に民衆を集め、抵抗軍が向かっていることを国民にしらせた。 国民はそれを聞くと、ざわめくがアルドはそれをめい一杯の咆哮で落ち着かせ、国民に抵抗軍に備えるよう指示した。 国民はアルドの言葉を信じ、ある者は家の窓や扉に木を打ち付け敵が入らないようにし、ある者は頑丈な作りのドラゴン専用の家に逃げ込んだり、ある者はドラゴンの力で敵から守るためにドラゴンの背中に隠れたり、ある者は使用を禁じられていた剣をとりだし、構えて家の中でジッとし、ある者はアルドを守るために鎧を着てアルドの家で待機した。 また、ドラゴンは頑丈な自分の家を快く開放し、自分が敵から人間たちを守るから、とばかりに家の外で待つドラゴンや、背中に隠れてきた人間を離したりせず、そのまま守る体勢に入るドラゴン、アルドを守るために巨大な鎧を着てアルド家の前で構えるドラゴンなど様々であったが、いずれにせよ人間を、ドラゴンを、見捨てようする者は王国には居なかった。 人間はか弱いためにドラゴンに守ってもらい、ドラゴンは人間を助けるために自分の頑丈な作りの家に出来るだけ人間をかくまり、人間を守ろうとした。 こうして緊急時にも上手く対処出来たのはアルドがドラゴンと人間の共生関係を上手く作ったからである。 こうしてアルドの王国軍、ガルドの抵抗軍は共に準備が完了した。
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