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薄暗くジメジメしている。
はたしてここは何処だろうか?
背中が痛い、床に寝ているのか?
ここが室内かどうかもわからない。
まだ眠気の残る身体を起し、静かに目を開ける。
「・・・・・」
さて、ここは何処だ?
少なくとも俺の部屋じゃない。
「・・・・・」
周りに人はいない。
拉致られたか?
いや、俺も拉致してもなんの得もない筈だ。
身代金の要求をするならもっと裕福な家を狙うべきだ。
そもそもなぜ俺を攫ってきた奴がこの場にいないんだ?
ロープで縛られてるわけでもない。
一体なんのつもりだ?
「とりあえず動いてみるか・・・」
部屋を軽く見渡してみたが何もない。
あるのは中の金属がむき出しになったベッドと、ボロボロのクローゼットがあるだけだった。
とりあえずクローゼットを開ける。
「きたねぇ・・・」
木が腐っているのか、少し触っただけでも崩れてしまうのではと思わせる。
「何もないな・・・ん?」
錆びた鉄パイプと腐りかけの木の下に何かがあった。
何かと表現する必要もないか。
ナイフだ。
ナイフがあった。
周りの物と比べて明らかに放っている光が違う。
「ナイフ・・・か」
なぜ犯人がこんな物を置いていくんだ?
俺に襲われる可能性を考えなかったのか?
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