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夕方の公園。大きな影と小さな影が寄り添って歩く。
「パパ、だ~い好き!!」
そう言って小さな女の子は父親の膝にしがみついた。
「ハハハ、そつかそっか。」
父親は笑顔になると、女の子を肩車してみせた。
「カナはね~大きくなったらパパのお嫁さんになるの!」
父親は嬉しそうだ。
「でも、パパにはママがいるしなぁ。」
「イヤだーカナがお嫁さんになるの!!」
「カナも大きくなったら他に好きな人ができるかもしれないぞ。」
父親はイタズラな質問を繰り返す。
女の子は小さな頭を大きく振りながら答える。
「できない、できない!!ずーっとパパと一緒なの!!」
「ずーっと一緒か。よし!ずーっとずーっと一緒だ。」
「パパ、指切り!」
「よし、指切りげんまん…」
日が沈んだ帰り道。
空に一つ二つと星が見える。
「…指きった!!…あっ!パパ、流れ星!!」
女の子が願う、その先で星が流れた。
その姿は誰の目にも美しく見えた。
ただ、どこか冷たく無慈悲な美しさを持っていた。
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