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透激昂
「ちょ、透!落ち着きなさい!!」
遥の襟首を掴んで殴りかかる透、慌てて止めに入る円
「うっさい!あんたが言わないからあたしっが言ってんじゃないのよ!」
「痛ぇ・・・離せよ、バカ」
弱々しく呟く遥。それがまた気に障り激しい怒りを向ける透
「あんた、あんたが一番アイツに近いとこにいるんでしょ!なんで簡単に妥協しようとするのさ!」
「こっちだって色々焦ってんだよ。まともに進んでねぇんだし・・・」
「あたしはそうやってなんでもかんでも簡単に諦める人間が大っ嫌いなの!アンタがネガティブな属性を持ってるってこともわかってる!だったらあたし達と協力していけばいいじゃん!!もともと欠如の欠片でしょ!力合わせていかなきゃならないの!」
「透!」
円が透を引き剥がす
「・・・ごめ、やりすぎたかも」
「お前があそこまで取り乱すなんて珍しいな。初めて見たわ」
巴が寄る
「ヘラヘラしてないでよ・・・今あたし最っ高に気分悪いんだから・・・」
「透、一体どうしたというのですか」
円が諭す
「円、あたしね。枝垂桜とか稲穂とかって嫌いなんだ。」
「?」
「だってさ、あれって重さであぁやって垂れちゃってるでしょ?そういうの嫌いなんだよね・・・背中曲げるくらいなら最初からすんな、やるんならシャンとしろってね」
「透・・・」
「あたしね、自分の属性はポジティブさと外交だけだと思ってたんだけど違うみたい。すっごく負けず嫌いで意地っ張りな部分もあたしに付与されていたみたい。」
円に倒れ掛かる透
「やれるのにやろうとしない人とか、なんかそういうの見てるとすっごく腹が立ってくるんだ。自分でやれもしないのを勝手にやって人に押し付けてるやつとかも嫌い・・・少しだけ、こうさせてて?」
自分の胸で泣く透の頭を撫でながら円は優しく言う
「あなたはとても優しい子ですよ。遥に対して怒ったのも、結局は彼のために怒ったのも同義じゃないですか。あなたの属性からすれば、彼がどこに就職しても、そう、たとえ彼が望まぬ分野であっても合わせていくことは可能でしょう。でもそれでは彼は幸せになれない。彼の幸せを願うなら、彼の適性にあったところで仕事を探すべき。あなたはそう思ったのでしょう?」
何度も頷き肯定する透
「自分の特性を活かすことよりも彼自身の適性に合った就職を願う。あなたはこんなにも優しいじゃないですか」
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