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「ねぇねぇ、厄介ごとってなに?」
「…………」
「無視しないでよー。あ、もしかして知られたら不味いの?」
「………厄介ごと、ねぇ」
「なになに?」
「今のお前かな」
「え、ひどーい」
あっという間に学校も終わり、今は麗と一緒に帰宅中である。
麗の家は俺の家の近くにあるので、帰り道がほぼ一緒なのだ。
しかし、ここまでくるともう付き合ってるんじゃないの?と思う人に言うが、そんなことはないし、付き合う気もない。
ただ幼馴染みなだけだ。
「そう言えばフウちゃん、今日も授業中爆睡だったね」
「そ、そうか?」
ちなみに俺は麗からフウちゃんと呼ばれている。昔からだから悪い気はしないが、これのせいでより誤解を招くこともしばしば。
そうそう、今日麗と帰っているのは麗が所属している部活が休みだからだ。
いつもは帰宅部の特権でひとり早く帰っている。
そんなこんなで、気がつくとちょうど俺の家が見えて来た。
しかしその瞬間、俺の顔がひきつる。
なんと、不幸にもあいつがいた。
「……ちょっと遠回りしようぜ」
「何言ってるの?もう家直ぐ目の前じゃん」
「いや、な?ほら、もう少し話したいからさ」
「家の前でも話せるし、取り敢えず進もうよ」
「ゴメン、マジでお願いします!ホントマジで!」
「む、フウマではないか」
「あっ……」
ほら言わんこっちゃない。カルマに見つかってしまったじゃないか。
しかも右手には明らか近所のものであろう柿が握られている。
「え?知り合い?」
ここで当然麗が食いついてくる。
「い、いやいやこの人はだな……」
面倒なことに巻き込まれまいと誤魔化そうとする俺、だが───
「む、そこの女性はフウマの知り合いか?
私の名はラヴェル・レ・カルマだ、現在フウマの家に住ませてもらっている」
「へぇー…え?住んでる…?」
律儀に自己紹介を済ませるカルマだが……。
余計なことを喋りすぎだよ……。
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