ゆうしゃは るすばんを している! ▼

5/8
前へ
/134ページ
次へ
───── 「ねぇねぇ、厄介ごとってなに?」 「…………」 「無視しないでよー。あ、もしかして知られたら不味いの?」 「………厄介ごと、ねぇ」 「なになに?」 「今のお前かな」 「え、ひどーい」 あっという間に学校も終わり、今は麗と一緒に帰宅中である。 麗の家は俺の家の近くにあるので、帰り道がほぼ一緒なのだ。 しかし、ここまでくるともう付き合ってるんじゃないの?と思う人に言うが、そんなことはないし、付き合う気もない。 ただ幼馴染みなだけだ。 「そう言えばフウちゃん、今日も授業中爆睡だったね」 「そ、そうか?」 ちなみに俺は麗からフウちゃんと呼ばれている。昔からだから悪い気はしないが、これのせいでより誤解を招くこともしばしば。 そうそう、今日麗と帰っているのは麗が所属している部活が休みだからだ。 いつもは帰宅部の特権でひとり早く帰っている。 そんなこんなで、気がつくとちょうど俺の家が見えて来た。 しかしその瞬間、俺の顔がひきつる。 なんと、不幸にもあいつがいた。 「……ちょっと遠回りしようぜ」 「何言ってるの?もう家直ぐ目の前じゃん」 「いや、な?ほら、もう少し話したいからさ」 「家の前でも話せるし、取り敢えず進もうよ」 「ゴメン、マジでお願いします!ホントマジで!」 「む、フウマではないか」 「あっ……」 ほら言わんこっちゃない。カルマに見つかってしまったじゃないか。 しかも右手には明らか近所のものであろう柿が握られている。 「え?知り合い?」 ここで当然麗が食いついてくる。 「い、いやいやこの人はだな……」 面倒なことに巻き込まれまいと誤魔化そうとする俺、だが─── 「む、そこの女性はフウマの知り合いか? 私の名はラヴェル・レ・カルマだ、現在フウマの家に住ませてもらっている」 「へぇー…え?住んでる…?」 律儀に自己紹介を済ませるカルマだが……。 余計なことを喋りすぎだよ……。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加