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翌日の朝。
「フウちゃんおはよー」
「おう、おはよ」
いつもと変わらない教室。いつもと変わらない朝の挨拶。
「おはよう、フウマにレイよ」
そんな俺の日常は、昨日なぜか転校してきた異世界の勇者カルマによって変わりつつあった。
これからはカルマにも挨拶することが日常になるだろう。
「どう?学校生活は」
「む、なかなか満喫しているが」
「そういえば、カルマさんてこの世界の勉強できるんですか?」
「幸運なことに文字は私の世界と同じようだ」
幸運なことに、と言っておきながらその後にため息をつくカルマ。
その憂鬱そうな表情には、俺も心当たりがあった。
「勉強、いやなんだろ」
「う、うむ」
カルマは自分の気持ちを当てられて少し驚いている様子。
そういや前にカルマ自信勉強好きじゃないって言ってたっけ。
ま、やっぱ人間なんてそんなもんだよなー。
と、思った矢先に、カルマの表情が一転。今にも笑みが溢れそうな表情になる。
「と、思っただろう?」
「へ?」
え?何これ、さっきの芝居?
「実は御主らが学んでいる範囲はもうあちらの世界で終えている。こっそりフウマの持っている本を見せてもらった」
「え。え。」
学んでいる範囲が終わっている?何この裏切られた気分。
「え!じゃあわからないところがあったら教えて!」
「うむ、いいぞ」
そうカルマが麗に返事をすると、今度は俺の方をを向いて、
「私としても何時までもフウマに教えてもらうわけにはいかないのだ」
見事なドヤ顔を決めていった。
これからの今日の俺といったらそれはもうかなり不機嫌だったと思う。
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