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「フウマよ」
「………」
「なにをそんな拗ねておるのだ?」
「お前自分のしたこと振り返ってみろよ……」
あのドヤ顔が未だに忘れられない。俺はため息をついて数学の授業に集中する。
「では、ここの問題を解いてください」
先生が教科書の問題を指摘し、生徒はみんなその問題取り掛かる。
「………」
サラサラサラッ
サラサラサラッ
サラサ……
「………」
俺の手は開始30秒もしない内に止まってしまう。
あれ…?わからない。
ここの範囲わからねえ…。
教科書の例題……も、理解できねえぞ?
そんな中、俺はカルマのドヤ顔をまた思い出してしまう。「奴だけには負けたくない」という思いが俺を急かすが、それでも手は動くはずもなく、どうしようもない苛立ちに頭を悩ませていた。
「フウマよ、苦戦しているようだな」
「う、うるせえ…!」
生徒に聞こえないようにヒソヒソと喋っているつもりだが、近くの生徒に振り向かれてしまった。マズイ、落ち着け俺。
しかし、今日の朝といい、苛立ちが治まる気配はない。
俺は何処かにこの苛立ちを受け流すために、嫌みたっぷりでカルマに話しかける。
「お前はできてんのかよ」
「フッ。このとおりだ」
そういう自信満々なカルマのルーズリーフは、白紙だった。
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