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「くっ…」
暗い部屋
いや部屋ではなく牢だろうか
そこに傷だらけになった子供がいた
体のあちこちに青痣や火傷の跡を作り、元は綺麗な銀髪だったであろう頭髪は埃を被り一部灰色となっていた
彼はその後無言で立ち上がると髪と服の埃を払い光を失った虚ろな瞳はジッと扉を見つめていた
彼は魔法が使えなかった
いや魔力が無かった
しかし彼は諦めなかった
やがて使える日が来ると信じていた
………しかしそれよりも先に精神が悲鳴を上げていた
悲しいと、寂しいと嘆いて、嘆いて…そんなこと嘆いても誰も気付きはしないのに、だから
無駄なのは気づいていた
愛されたいなど…愚かな事だと思い込んでいた
それでも生まれたばかりの弟に向ける笑顔を向けてほしかった
そのためには…どうすればいい?
光の射していた精神はやがて闇を迎えた
光ではなく闇を求めた
それが、今の彼
赤月 零
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