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中3の夏。
俺は今、神原シニアのエースとして神宮球場のマウンドに立っている。
俺の名は巻原春介(まきはらしゅんすけ)
中学生にして最速143キロを投げシニア界では全国で名を轟かしていた。
その快腕で決勝まで進み、
この試合も最終回
自らのホームランを打ち、1対0で勝っていた。
ここまでノーヒットノーランを続けており、あとワンアウトまで来ていた。
しかし味方のエラーと
ファアボールで
二死一、二塁となっていた。
「ふぅ、きっついなー やっぱり最後は真っ直ぐで勝負だな。」
迎える打者は全国屈指のスラッガー秋山弥彦(あきやまやひこ)
ここまで2三振と抑えていた。
春介はセットポジションに入り、一球目渾身のストレートをど真ん中に投げ込んだ。
「ストライーク!!」
球審の右手は高々と上がる
その球速は145キロを計測していた。
二球目を投げようと
思いっきり左足を踏み込んだそのとき‥‥
「ブチッ!」
春介の左膝は悲鳴をあげた‥‥
右腕から離れたボールは
春介にはスローモーションのように見えて
力なく秋山のバットに吸い込まれるように弧を描いた‥‥カキーーン!
その乾いた金属音も心地よく感じ、春介はその場に崩れるように倒れた。
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