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それから私たちは、来る日も来る日も疲れるまで語った。泣ける程笑った。
過去に出会った頃の話。その時に感じた事。
埋もれてしまった記憶を、琴音は嬉しそうに掘り出して見せてくれた。
どうして忘れてしまっていたのだろうか。
こんなに彩りに溢れた日々を。琴音の事を。
でも、私の事であるのにまるで私の事では無いようで、まるで雲を掴まされているような、そんな感覚。
そこにあるのに、実感が無くて。私であるのに、私では無くて。
琴音が語る話に腕を引かれるように、私の心にも彩りが増えて行った。
それでも、まだ当事者の私には他人事のようだった。
そうしてある日、琴音の生まれた理由も分からず終いのまま、別れの日を迎えた。
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