消えてなお、降り注ぐ光

2/3
前へ
/12ページ
次へ
 私が目覚めるとそこは、遥か彼方まで広がる草原の真ん中だった。  見渡す限り広がる草原は地平線の先まで続き、夜空と交わっている。  夜空には満点の星空が広がり、数え切れない程の星々が明滅を繰り返していた。    「ねぇ、知ってる? あの星の瞬きは遥か昔の輝きで、今見えている星は既に滅んでしまっているかも知れないんだよ」  気付けば、音々の隣には少年が立っていた。    あどけなさが残っている少年は屈託の無い笑みを浮かべると、『紅葉(もみじ)』と名乗った。  「星はこんなに沢山有るけれど、実はもう滅んでいる星の光を僕たちは見ているかも知れないんだ。でも、僕らにはその違いが分からないんだ。・・・・・・なんだか寂しいよね」  紅葉は哀しそうに笑った。憂いを帯びた笑顔だった。  星と自分とを重ね合わせているのだろうか。  確かに、私たちと星々は似ているかも知れない。  美しく輝く星は知名度も高く良く見えるが、それ以外の星々はどうだろう。    例えいつの間にか消えてしまっていたとしても、誰も気付かないかも知れない。  何等星かも分からない名も無く見えない星のように、他人に埋もれてしまっていて見えない私は、誰かが認めてくれているのだろうか。  流れて消え行くあの星のように私が突然消えてしまったとしても、私がここに居たのだと知り得る人は居るのだろうか。  ただ、今は気付いた。  例え今見ている星が亡霊であったとしても、そこに星が確かにあったのだと私は知った事に。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加