プロローグ

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薄暗い洞窟の中をフードを深く被った10人ほどの集団が、ぞろぞろと歩いていた。松明の灯で朧気ながらも、先頭を歩く者が無精髭をはやした男………だと言う事がわかる。 しばらく進むと、男は突然立ち止まると周囲を確認しだした。行き止まりという訳ではない、だが彼は側に控えていた者に松明を預けると、這いつくばり、地べたを手で探って行く。 「……………………おい!テメーら少し下がってろ!!………見つけたぜ」 男の声に松明を持った者が短く返事をし、残りの者共々、約5メートルほどの距離をとった。灯りを持つ者が離れた為、無精髭の男の周囲は更に暗くなったが、もともと闇に慣れていた為、これから行う作業に支障はない。 男はその場で地面のある一点に人差し指をつき、立て膝で素早く呪文を唱える。 「闇の魂持ちたる竜よ………混沌の導き………邪心を喰らえ………我、汝と同じ………邪悪を好む者なり」 詠唱が終わると同時に、男が指を指していた地面がまばゆい光を放つ、それと同時に、男の右側の壁が音を立て、正方形の空間を残し崩れ落ちた。
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