一羽の鴉

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左翼の根元をボウガンの矢で射抜かれた鴉が、三人の青年達のサッカーボールになっていた。随分蹴り回されたであろうその鴉は、大量の血を流しながら暴れていたが次第に弱っていき、悲鳴も小さくなってきていた。 「ちょっとアンタ達、やめなさいよ!」 ころんは思いきり、一人の青年の頭を後ろから教科書ぎっしりの通学鞄で殴り付けた。 「いって…何だクソガキ、何しやがる!」 「それはこっちの台詞よ!鴉さん死んじゃうじゃない!」 「こいつは俺達が仕留めたんだよ、どうしようが俺達の勝手だろうが。」 青年はギリ、と鴉の脚を踏みつけた。ビキ、と嫌な音と鴉の大きな悲鳴が聞こえると同時に、ころんはブチ切れた。 「アンタ達、覚悟しなさい!あたし、もう許さないんだから!」 ころんは思いきり右手を振りかざすと、その青年に焼き上げの魔法を放った。 「熱ッ!このガキ…!」 怒った青年がころんに掴みかかろうとするが、ころんはそれをかわし、ぐったりしている鴉の元へ屈んで抱き上げた。 「オイ、返せよ、そいつ」 「Noかいいえでしか答えらんないわね!」 ころんはキッと三人を睨み付けた。 「あぁ、そうかよ!」 魔法をくらった青年がそう叫ぶと、ころんの脇腹に激痛が走り、そのまま近くの木箱まで叩きつけられた。 「う゛…ぁッ…」 ぶつかった木箱が壊れ、中から新鮮そうな綺麗なレモンが転がっていく。それは鴉の血の上を転がり、赤い縞模様になってしまった。 「おーっと、鴉だけ蹴り飛ばそうとしたら失敗しちまったぜー、俺サッカー下手だからよォ、そいつで練習してたんだ。」 「…ふ、ん…ふざけすぎ。下手にも程があるわ、いっそやめてしまえば?このド下手くそ。頭が悪い上に性格も悪けりゃ、女の子と遊べなくて弱い者イジメしかする事が無いのね、カワイソー。」 ころんは思い付くまま罵倒の言葉を、自分を蹴りつけた青年に浴びせた。当然青年は怒り、ころんの前にしゃがみこむと胸ぐらを掴んだ。 「言うじゃねぇかクソガキが。しかもメスの分際で調子こいてんじゃねェぞ。剥くか?あァ?」
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