風切大輔

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仁はプロ野球中継を観ていた。 野球を観るとどうしても思い出してしまう。 風切大輔を 大輔は幼い頃からの親友だった。 あいつとは野球ばかりして遊んでた。 中学生ぐらいの頃から、俺は大輔の才能に気づき始めていた。 投手だったあいつの球を、捕手として捕るのが難しくなっていたからだ。俺は必死に大輔についていこうとした。 そのかいあって俺は甲子園優勝まであいつのキャッチャーでいることができた。 そう、甲子園までは。 大輔はプロになった、だがその世界は厳しかった。 大輔は必死に努力していた。それでも、大輔は一軍のマウンドに上がることができなかった。 そして突然、あまりにも突然、大輔はこの世を去った。花子ちゃんと幼い音弥を残して。 「なんで泣いてるの?」 スズが俺の顔を覗き込んでいた。 「いや、なんでもないよ」 そう言ってスズの頭を撫でた。
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