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そんなにやりたかったら野球チームに入ればいいじゃない。
布団の中で、奏に言われたことが音弥の頭に残っていた。
自分は野球が嫌いだ。
それは間違いない。
だって野球は俺と母さんを苦しめた原因だから。
万年2軍選手じゃ、給料も安かったに違いない。
甲子園で優勝したからって、プロで活躍できる訳じゃない。
そんなこともわからずに夢を追いかけてポックリ死んで。
結局俺と母さんを苦しめただけじゃないか。
自分が運動神経がいいのは自覚してる。
でもそれを晒すのが嫌だった。
だっておそらく俺の運動神経のよさは父さんから受け継いだものだろうから。
憎む相手からもらった才能なんてうっとうしいだけだ。
だから俺は野球はやらない、野球チームにも入らない。
もう、それでいいじゃないか。
もう眠ろう
そうだ、キャッチボールは奏に禁止されたから、明日は友達の家にでもよって帰ろう。
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