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カランカラン
俺は店に戻った。
さっき奏が言っていた変な客はいないようだ。
カウンターにおじさんがいるだけだ。
「よう、奏に怒られてたのか?」
「あぁ、明日からキャッチボール禁止された」
「あっはっは、あいかわらずキツイね~奏」
「なんか言った?」
おじさんの後ろに奏が立っていた、奏と手をつないで妹の鈴菜(すずな)もいた。
「いやなんでも」
おじさん、汗すごいよ。
「あー、音弥だー」
鈴菜が飛びついてきた。
「こら、スズ、馬鹿が移るよ、離れな」
奏さん、めちゃめちゃ機嫌悪い。小学生がしていい目つきじゃないと思う。
なぜこいつが学校の男子から人気があるのか、俺には謎だ。
「奏、機嫌なおして、お客さんいないからなんか飲むか?」
「スズはグレープジュースがいい!」
「私、オレンジジュース」
「俺コーヒー」
「また?なんでそんな苦い汁が好きなの?そんな黒いものばっかり飲んでるから、腹も黒くなるんじゃない?」
「なんだと?全国のコーヒー愛好家にあやまれコノヤロー。
別に小学生が飲んだって悪くないだろ?」
「あんたに飲まれるコーヒーが可哀相よ」
「おまえさっきコーヒーのこと馬鹿にしてたよな?なんでいきなり味方なってんだよ」
「このっ…人の揚げ足ばっかりとって、バーカ!」
この口喧嘩、俺の勝ちだな。
「なに勝手に勝ち誇ってんのよ!私はまだ…」
「ふたりともおもしろ~い」
そう言ってスズが笑っていた。
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