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店を閉めた後
おじさん、アキ姉ちゃん、奏、スズ、そして俺。 5人の食卓。
話題は今日店に来た変な客の話。
テーブルにはアキ姉ちゃんが作った料理。
食べ終われば、俺がこの家で過ごす時間は終わり。
「ごちそうさま、おやすみ」
立ち上がった時、おじさんが声をかけた。
「花子ちゃん、今日早いのか?」
「うん、いつもよりは」
花子ちゃんっていうのは俺の母さん。看護士をやっていてほとんど家にいないほど働き詰め。
母さんとおじさん、いや、母さんとおじさんと死んだ父さんは同級生で、父さんとおじさんは親友だった。
だから俺はこの家に世話になってる。
基本的に晩飯を食べたら帰るが、母さんがまる一日いない日などは泊まったりもする。
「そうか、じゃあおやすみ」
「バイバイ音弥~」
スズが見送ってくれた。
「ただいま」
誰もいない家に言ってもしょうがないとは思うけど。
「おかえり」
驚いた母さんがいた。
「どうしたの?めちゃくちゃ早いじゃん」
「まぁね。仁くん家でご飯もらった?」
「うん」
「そう、ごめんね…」
「なにが?」
「…ううんなんでもない」
母さんは時々無意識に俺に謝る。一人にしてごめんねということなのだろうか。
母さんが忙しいのはわかってるし、寂しいとも思わない。
そもそも家計が少し苦しくて母さんが働かなきゃいけない原因は父さんにあるんだ。
母さんは悪くない、全部…
父さんが悪いんだ。
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