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「まあまあ落ち着けハル」
そこに僕らの中でリーダー的存在の男、レムが部屋に顔を出した。
「っ!私は冷静よっ、レム!それより、今日私達を呼んだ理由は!?」
どう見ても不機嫌なハル。
それをどこ吹く風の様に軽く流すレム。
「ああ。今日呼んだのはな、お前達に能力者を倒すのを手伝ってほしいからだ」
それを聞いた瞬間、僕の体に電力が走ったかのように、体全体が緊張して動かなくなってしまった。
「それで、どうすれば?」
しかしハルは全く平気だったらしく、平然と腕を組んだまま話しを聞いていた。
「ああ。どっちかに囮役をしてもらい……囮に敵が釘付けになったところを、もう一人が…ドンッ」
そう言って右手を銃に真似ながらバーン、と発砲の真似をして説明したレム。
でもそれは、僕に恐怖心を抱かせる以外の何物でもなかった。
「ふぅん。つまりシュンが囮ってわけね」
えっ?なんで僕が?
たしかに僕は人を殺せないし、引き金なんて引いたこともない。
それならハルが倒す役をやるのが妥当なところ。
「頼んだぞ、シュン!」
レムは僕の肩に手を乗せながら、期待の眼差しを向けてきた。
そんな期待、抱かない方が懸命だよ。
「で、場所は?」
「場所は国道付近の森。
能力者なら簡単に呼び寄せるから、お前は見付かったら全力で逃げればいい」
そう言って歯をニッ、と見せられても困るよ…。
ああ……今思えば、なんでこの時に断らなかったんだろう。
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