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江戸時代にお岩というとても美しい女性がいました。
お岩は愛する夫伊右衛門と幸せに暮らしていました。
しかし伊右衛門は欲に目がくらみ、金持ちの喜兵衛の孫娘梅と結婚しようとしました。
喜兵衛も伊右衛門を婿に望み、出世を条件に出しました。
伊右衛門も貧しい生活から抜け出すため、梅と結婚する事にしました。
でも、そのためにはお岩の存在が邪魔になります。喜兵衛は劇薬をお岩に飲ませることを勧めます。
夫を信じていたお岩は、まさが差し出されたお茶に毒が入っているとも知らずに飲みました。
すると顔が焼けるような激しい痛みを感じ、思わず手鏡を見て悲鳴をあげました。鏡の中に映っていたのは、恐ろしく焼けただれた顔をした自分の顔だったのです。
お岩の顔を見ると伊右衛門は恐ろしさに震え言葉を無くしました。
「何故このような事を…。」
お岩の顔から涙が溢れました。
「わ…悪かった、お岩。…勘弁してくれ。」
伊右衛門は畳に頭を擦り付けて謝りました。
「大地主の喜兵衛さんから孫娘の梅と結婚してやってくれないかと言われたんだ。
もちろん最初は断ったよ…俺にはお岩という女房がいるからとね。
すると喜兵衛さんは、梅は昔からおまえが好きで、どうしてもめおと(夫婦)になりたい。夫婦になれないなら死にたいと言い出したんだそうだ。
もし梅と夫婦になってくれたら、将来は出世を約束すると言ってくれたんだ。それに莫大な財産はすべてお前の物になると…。」
「欲に目がくらんだと…?。」
「そ…その通りだ。…そ、その時に喜兵衛さんがこの薬をお岩に飲ませると良いと渡されお茶に入れた。
まさか、こんな醜い姿になるとは…俺も知らなかったんだ。」
喜兵衛さんは苦しまずに一気にあの世に逝くからと言ったから…。」
「私を殺して、その娘と夫婦になるつもりだったのね。」
お岩は泣き崩れました。
「お岩…悪いが、俺の幸せの為に…死んでくれ…頼む。
お前さえいなければ、お…俺は梅さんと夫婦になって…、なに不自由無い贅沢三昧な暮らしが出来るんだ。お岩、悪いが俺のために死んでくれ!」
伊右衛門はそう言うと、お岩を古井戸の中に投げ込んでしまいました。
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