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言問橋を渡り、浅草の花川戸へやって来たゆき乃。
花川戸町会の新築された町会事務所は白壁の蔵造りで、浅草の雰囲気に調和していた。
「辰おじさん!」
ゆき乃は、町会事務所の前で辰を見つけて、声をかけた。
「おお、ゆき乃ちゃん!よく来たね!またキレイになったなぁ」
辰は人懐っこい笑顔でゆき乃を歓迎する。
「いえ、そんな。今日は父が出席できず、すみません」
ゆき乃は照れながら頭を下げる。
「そうだよ。雪雄のやつめ。でも、おじさんはゆき乃ちゃんが来てくれた方が嬉しいよ。ありがとうね」
町会長である辰は、盛大な竣工式を迎え、上機嫌だ。
多くの人が新築の町会事務所を祝って参加し、人は通りにまで溢れていた。
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