7033人が本棚に入れています
本棚に追加
姉の小雪とゆき乃。
姉妹で母の血を濃く継いだのはゆき乃の方だった。
と言っても自分では何の自覚もない。
ごく普通の女子高生だ。
「大人になったら力を発揮する。詳しくはその時に話す」
父の雪雄から自分の正体を明かされたときに、そう言われたきりだった。
それから、父はその事には一言も触れない。
あれは夢だったのではないか…と思うほど平凡な日々をゆき乃は過ごしていた。
しかし、藤原光流はその事実をなぜか知っていて、ゆき乃に白狐の子だと自覚させた。
(あの人、一体何者なの?お母さん、私・・・なんか怖いよ)
不安な気持ちを抱えたまま、巫女の衣装や神器をカバンにつめる。
光流との約束を果たすことよりも、光流の正体を知りたい気持ちの方が大きい。
軽く昼食を済ませ、ゆき乃は、光流が待つ浅草神社へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!