白狐の血

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姉の小雪とゆき乃。 姉妹で母の血を濃く継いだのはゆき乃の方だった。 と言っても自分では何の自覚もない。 ごく普通の女子高生だ。 「大人になったら力を発揮する。詳しくはその時に話す」 父の雪雄から自分の正体を明かされたときに、そう言われたきりだった。 それから、父はその事には一言も触れない。 あれは夢だったのではないか…と思うほど平凡な日々をゆき乃は過ごしていた。 しかし、藤原光流はその事実をなぜか知っていて、ゆき乃に白狐の子だと自覚させた。 (あの人、一体何者なの?お母さん、私・・・なんか怖いよ) 不安な気持ちを抱えたまま、巫女の衣装や神器をカバンにつめる。 光流との約束を果たすことよりも、光流の正体を知りたい気持ちの方が大きい。 軽く昼食を済ませ、ゆき乃は、光流が待つ浅草神社へ向かった。
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