三囲神社の巫女

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「今日は宜しくな。辰っちゃんには言っといたから」 翌朝、父の雪雄は、そう言い残してゴルフに出かけた。 「お父さん、ちゃんと朝ゴハン食べたかなぁ…」 ゆき乃の母は、ゆき乃がまだ幼い時に亡くなっていた。 三井家は父の雪雄と姉の小雪とゆき乃の三人家族である。 ゆき乃より5歳年上の姉、小雪は、結婚して家を出ている。 三囲神社は主に雪雄とゆき乃の二人が守っているのだ。 小さな頃から家事をしたり、神社の仕事を手伝っていたゆき乃は、自然としっかり者に育っていた。 ザザー… 竹箒(たけぼうき)が土の上を滑る。 「終わったぁ」 境内の朝の掃除を終えて、ゆき乃は浅草の花川戸に出かける用意を始めた。
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