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「そういやカケル、美純のヤツ彼氏欲しいらしいよ?」
「ちょっ、バカ!!」
「え、まじで?付き合う?俺と」
相変わらずの軽いノリで、なんでもないことみたいにニコッと笑う。
褐色の肌とやたら白くて歯並びのいい口元。笑うと目尻に皺が寄って、数歳は若く見える。
「かるぅ…」
思わず口からこぼれた言葉を聞いて、京香が吹き出した。
……彼氏か。
なんとなく恋愛って楽しいイメージがなかった。
手繋いだり、キスしたり。
そんなことのどこに“ハマる”要素があるのか、17歳になった今も……よくわからない。
数年前に付き合っていた人とも、数ヶ月もしないで別れてしまった。
だって、夢中になる感覚も。
好きだって気持ちもわからない。
ただ、制約ばかりが増えて、窮屈で、楽しいってのとは随分違う。
それ以来、彼氏は作らなかった。
京香いわく、本当の恋を知らないから。
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