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ローファーをつっかけて玄関を出る。
電車が発車するまであと10分。
ここから駅まで歩いて15分。
走れば間に合うか間に合わないか。
それでも走るしかないっ…!
意を決して駆け出す。
カシャン。
隣の家の門扉が開き、自転車をひきながら遼が出てきた。
それ横目に、ダッシュを続ける。
「…急いでるの?」
不意に、背中に声が掛かった。
「後ろ、乗る?」
正直、藁にもすがりたい気持ちで振り返った。
黒い学ランに、黒い頭。
切れ長の涼しげな目元が、昨日ぶりにぶつかった。
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