遠い、隣

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京香と談笑しながら教室に入ると、どんっと背中から押されて思わず振り向いた。 「……カケル」 「おはー、ってなに美純顔どしたの」 いちいち説明するのも面倒で、聞かなかったことにする。 「えっ、無視?なにそれ相変わらずキビシー」 カケルはそこそこ日焼けした肌と、そこそこある上背と、そこそこ整った顔をしているせいで、モテる。 本人もそれを自覚してるから遊び回っている、所謂……チャラい男。 ちなみに、見た目から言えば私も京香も同じようなものだったけど、京香は年上の彼氏ともう二年付き合っているし、私も恋愛経験は乏しいほうだった。 一年の頃にカケルにかるーく「付き合ってみない?」と持ちかけられ、なんとなくそんな気分じゃなかった私はサラッと断った。 それ以来カケルはよく付きまとうようになって、なんとなくグループみたいになってしまっている。
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