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-通学-
「はぁ~…今日も学校か。憂鬱だな…」
「…ダメ。まだ、入学して1ヶ月。もっと…やる気出す」
「へいへい」
ため息混じりに呟く俺を、弥優が叱咤する。
まあ、何故この俺がため息をついているのかというと、
「でも弥優はいいよな、頭良いから。来週の中間テストだって余裕だろ?俺はバカだからさ~」
お察しの通り、俺はバカなのだ。この高校に入学出来たのも、奇跡以外の何物でもなく。
中学の時の成績は、ケツから10番。
対して我が幼なじみ兼彼女のクーデレさんはというと、中学時から学年トップ。高校にも主席合格という、輝かしい成績の持ち主なのだ。
「…出来ないなら、やる。教えるから、一緒に勉強」
憂鬱になっている俺を、弥優がそう言って励ます。
きっと弥優と勉強すれば、赤点は免れるだろうが…
「一緒に…勉強…」
俺の中に出てきた考えは、思春期の青少年が考える、いかがわしい考えで。
「是非に!」
「……?たいが、やる気。何で?」
即答する俺だったが、弥優はその理由が分からずに、小動物の様に小さく首を傾げる。
その動作が、異常に可愛かったことは…俺だけの秘密である。
我らがクーデレお嬢様は、鈍感だった。
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