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すっと肩が軽くなり、首が自然と動いた。
彼女の叫び声のおかげか分からないが、固まっていた俺の体が呪縛からとかれて動くようなった。
早くココから離れないと。
俺はとっさに、叫んでパニック状態に陥っている彼女を抱えて、幽霊のいない方からトンネルを出ようと立ち上がった。
力の抜けた彼女の体は安定してなくて掴みずらかったから、俺はうまく立ち上がれずによろけていた。
しっかりしろよ、俺。
焦りすぎてる自分を客観視するように恥ずかしく感じながら、俺は幽霊の方を見ないようにして出口を振り向いた。
彼女の足が道路に引きずっていたが、気にする余裕もなく、俺は重い足をずんずんと進めていった。
引きずられる彼女の方はというと、ヒステリックに叫んでからは、マブタをギュッと閉じて現実逃避。
とり憑かれたかのように何かをぶつぶつと唱えていた。
やっぱり、ここはヤバい場所だったんだ。
こんな状態になるだなんて想像もしてなかった。
後から後悔しても、もう遅い。
きっと、なめてた俺に対する罰だ。
ミキちゃんを巻き込んでしまった。
とにかく、ここを抜け出した先には普通の安全な生活が待っている、と、そう信じるしかなくて、俺の足は動き続けていた。
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