プロローグ

3/4
前へ
/104ページ
次へ
俺は十キロの道を電車に揺られて帰る。 開成高校では珍しくバイク登校が可能なので、俺が電車で学校に通うのもきっと夏までだろうと思っている。 いや、そうなるに越したことはない。 こんな人だらけの場所でずっと過ごすなんて暑苦しくて耐えられない…………なんて思っていたのだが。 見てしまった。 気持ち悪い男が紺色のブレザーにチェックのスカートを履いた開成高校の生徒に痴漢をしているのを。 この容姿だけで目立つのに、事を起こして目立つなんて遠慮願いたい。 そう思っていたのだが。 「おい痴漢。 気持ち悪いその手、離したらどうだ?」 勝手に体が動いていた。 俺の悪い癖だろう、厄介事に首を突っ込んでしまうのは。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

934人が本棚に入れています
本棚に追加