挨拶は突然に

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「おはようございます隆幸様。」 「…………。」 「おはようございます隆幸様。」 二度同じことを言われた隆幸こと俺はすさまじく眠かった。 何、大した理由ではない。 高校三年間も一人かと思うと少し憂鬱になっただけだ。 「隆幸様、シャキッとしてください。 今日も学校なのでしょう?」 俺に話しかけてきているのはメイド…………ホントにメイドがいる家っていうのは珍しいだろう。 俺だって驚いている。 自分で言うのもなんだが、うちは金持ちだ。 だけど唯一家内で一般的な常識を身に付けているのは俺だけだろう。 「どうですか、新しい学校は。 楽しいですか?」 メイド、佐志原絢香は顔色を変えずに聞いてくる。 「いや、別に何もない絢香さん。」 「隆幸様はカッコいいから、それはおモテになられるんでしょうね。」 無表情でフフフと笑う絢香さん、器用すぎるだろ。 そしてゴメン絢香さん、おモテになるって何だよ、それどころか友達もいないんだ。 カッコいいわけないでしょうが。
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