...赤のウタ

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♪もう一切、もう一切 振り返らずに 歩み続けたい まだまだ終わらないから――――― 京「すごい…………」 彼らの歌は素晴らしかった。特にすばるの声は聴いたこともないもので、最高に興奮した。パフォーマンスはもちろんだけど歌詞のことば一つ一つに魂が込められていて、心にストレートにとどいた。素直に渋谷すばるは天才だと思った。 渋「やろう思たらやれるやん。亮はできる奴やで、もっと自信もたな」 亮「ありがとう……」 カメラがあるところの方でメンバーは自然と集まり亮ちゃんを励ましているように見えた。 丸「今日はいい感じにできましたね!これから深夜までがんばりましょ~う!」 雛「おうっ」 横「せやな」 忠「腹減った~飯~」 マルちゃんの一声でみんなが出口のところにいる私の方へ来た。ことばでこの感動を伝えたいけれど、うまくことばがでてこない。 京「……………。」 章「どしたんきょんちゃん!泣いとるで!」 京(泣いてる……あたしが……?) さっ 頬を触ってみた。 冷たい。 京(あ、私泣いてるんだ…。) するとすばるがやって来た。 渋「俺らの歌聴いて泣いてくれたん?」 京「コクンっ」 涙がとまらなくて声がでなかった。 渋「……ありがと」 京「へっ?」 渋「……俺はファンとかもちろんファンじゃない人にも、エイトの歌はもちろんだけど俺の声も届けたいと思とる。みんなに感動してもらって、みんなに好きって言ってもらえるようになりたいと思とる」 京「………。とても…とても感動しました…。なんか、もう。なんて言っていいかわからないんですけど心にスーッとなにかが通って……なんてゆうんだろ。すっきりしたと同時に温かみがあって……。なんて、なんて言ったらいいんだろう……」 横「そんだけ言ってくれたら十分や。すばるの声が京にとどいた、思たらばりうれしい。ありがとう。」 京「いえっ………私はそんな………」 渋「……ありがとな」 すばるはそういって私の頭を優しくなでてスタジオから出て行った。 京(……なでなで!?) 亮ちゃんやマルも私と同じように目を丸くして驚いている。 亮(すばるくんがあんなんするなんて…) 丸(すばるくん変わったなぁ……) すばるの歌はすばらしかった。情熱と魂があふれて赤く燃えた、熱い歌だった――――― .
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