呂布覚醒!

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「これは呂布殿……依頼された軍資金……それに武器を届けに参ったのですが……それと、これから初陣に向かう呂布殿へ、この戟を餞別に……と、思い持参しました。」 「この戟を俺に……では、早速使わせてもらおう……」 周囲の期待を裏切らず、呂布は戟を片手で軽々と持ち上げ、軽く振り回しました…… 二人がかりで戟を持ち上げた兵士達は、ただア然としていました…… 「馬権殿……この戟は最高の餞別です♪」 「呂布殿には、まさに鬼に金棒ですな♪……いや、喜んでもらえてよかった……では見事に初陣を飾れる事を祈っております……」 「馬権殿……もし俺が一軍を率いる将軍に出世したら、馬権殿を我が軍の御用商人にする事を約束します!」 「呂布殿……期待しておりますぞ……」 馬権殿が帰り支度を始めた時、馬権殿の屋敷の者と思われる早馬が届きました…… 「すぐ戻るのに急ぎの用か?」 馬権殿は不審に思い尋ねます…… 「申し上げます……義勇軍の先発隊が出陣した模様です!」 呂布も私も、自分達が先陣をきるものと疑わず、他の者が先に出陣したなど我が耳を疑いました…… 「なんと!……して出陣した者は?」 「李進[りしん]のボンクラ息子で李粛[りしゅく]と申す者……」 「李進の息子か?……して兵数はいかほどか?」 「およそ五千と思われます!」 「五千か?……他に情報は?」 「現在のところ以上です……」 「馬権殿?」 呂布は、我々より先に出陣した李粛について質問します…… 「李粛という者をご存知ですか?」 「詳しくは存じませぬ……ただ、彼の者の父親は李進と申し、私とは商売敵[しょうばいがたき]でございます……噂では息子の李粛は野心家で、親のスネをかじりながら不良少年達を集めて、そのリーダー風を吹かせていたようです……今回も親をパトロンとし、挙兵したのでしょう……」 「親のスネをかじって……か?……まぁ、俺も祖父のスネをかじり、今は馬権殿のスネをかじってるから似たような境遇だな?」 「それは違います!……私は根っからの商人……回収の見込みのない投資はしません!……いくら親友の孫でも呂布殿がボンクラなら投資しません!」
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