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人間、なにをするにも初めての時があります……ついに呂布にも、その『初めての時』が訪れたのです……
兵糧等の準備が整っていた事と、少数の兵力だったので、すぐに出陣する事になりました……
「陳宮……無事に出陣することができたが、これからの黄巾賊との戦いで、なにか作戦があるのか?」
出陣し、戦場に向かう道中で、呂布が不安そうに質問しました……
「作戦?……べつに……」
「な!なんじゃそりゃ!……今の黄巾賊の兵力は、我々の十倍以上に膨れ上がってるんだろう?……なんの作戦もなくて勝てる道理がなかろうが!」
呂布が『作戦ナシ!』のような冷たい態度の私に怒りを露[あらわ]にします……
「まぁまぁ……戦いの前から、そんなに興奮してたら戦いが開始する頃にはバテちゃうよ……もっと冷静に……ねっ♪」
「ねっ♪じゃないだろうが!ねっ♪じゃ!……今まで陳宮が自信満々だったから、なにか凄い策を持ち合わせてると思い込んで、安心して陳宮に任せてたんだぞ!……それを、いざ出陣って段階になり『作戦ナシ!』とは何事か!……それでも我が軍の軍師か!」
「軍師?……誰が?」
「陳宮!お前に決まってるだろう!」
「僕が?……えへへっ♪……僕が軍師かぁ~♪……でも、正式に軍師に任命された覚えがないなぁ~?」
「た、たしかに正式に軍師として任命していなかったような気もするが……しかし!今までの陳宮の行動、発言……どれを取っても皆が陳宮を軍師だと思ってたぞ!」
「えへへへぇ~♪……そうだったの?……僕は自分の事を、単なる御意見番だと思ってたから……そっかぁ~♪僕は軍師だったのかぁ~♪」
「少しは自覚しろ!……正式に任命されてないのが不満なら、たった今、正式に任命する!……陳宮!お前に我が呂布軍の軍師に任命する!……これで文句ないだろう!」
「ははっ!……非才の身なれど……
「挨拶はいい!軍師なんだから、いい作戦を考えろ!」
「考えるまでもありませんよ……」
自信満々の笑顔で呂布に答えます……
「……ただ死にに行く訳じゃなさそうだな?……その自信の理由を聞かせてくれ……」
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