初陣

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空が白み始めた頃、前方に敵陣営が確認できました…… 「陳宮……いよいよだな?」 呂布が戟を持つ手に力を込めます…… 「はい……呂布様には、存分に暴れ回っていただきます!」 呂布は自信に満ちた笑顔で、私に応えました……そして先頭を進んでいた張遼に大声で呼びかけます…… 「張遼!聞こえるか?」 「はっ!」 「ヌシに先鋒を任す!……って言っても、すぐに俺も後に続くが……頼んだぞ!」 「ははっ!……呂布様の進む道の露払いを務めさせていただきます!」 張遼も大声で応えました…… 張遼に先鋒を命じた呂布は、次に総大将らしく兵士達に下知します…… 「皆の者!よく聞け!……敵は大軍だが所詮烏合の衆だ!……今まで厳しい訓練にも耐え抜いた君達の敵じゃない!……それでも我が軍は、兵数で圧倒的に不利だが……なぁ~に、俺が三十人くらい突き殺せば敵は恐れをなして逃げ出すはずだ!……その間、君達には自分の身を守りながら敵の五~六人でも倒してもらえればありがたい!……だが、無理をするな!命を大切にしろ!……俺がいいたいのはそれだけだ!……では……出陣だぁ~っ!」 「「「「「応ぉ~っ!」」」」」 呂布の下知に鬨の声が挙がり、張遼を先頭に、先ずは騎馬隊三十騎が駆け出します……その後に呂布が続き、残りの歩兵は小走りに騎馬隊の後を追います…… それまで静まり返っていた敵陣も、この騒ぎでようやく我が軍の襲撃を察したのか、慌ただしい雰囲気が感じられるようになりましたが、まだ迎撃に出る気配はありませんでした…… 張遼は早くも敵陣に切り込みますが、敵も守衛と思われる武装した数名の兵士が張遼の行く手を阻もうと槍を持ち待ち構えますが、張遼は馬のスピードを緩めずに突進し続けました…… 「我が名は張遼っ!……死にたい奴は前に出ろ!」 「ちょ、張遼だって!!……あの張遼が相手だったら俺達が勝てるはずない……逃げろ!」 守衛らしき兵の隊長とおもわれる男が言うよりも早く逃げ出します……さすが涼州中の不良達のカリスマ張遼文遠のネームバリューはハンパありません!……名前を名乗っただけで敵が逃げ出す……私は、呂布の名も張遼のように……いや、張遼以上に育てたいと思います♪
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