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「呂布様っ!」
「んっ!張遼か?……たくさんのお友達に囲まれて楽しそうだな?……俺も一緒に遊んでいいか?」
黄巾賊の雑魚達は驚きました……張遼が他人に仕えている事を……不良グループのリーダーで大人達に反発し、誰の下にも属さなかった張遼を涼州の不良なら誰でも知っている事です……その張遼が『呂布様』と、主人に接するような呼び方をしていたからです……
「いくら呂布様の命令でも、俺は自分の玩具[おもちゃ]を横取りされるのが一番嫌いなんですよ……でも、遊び疲れたから、ちょっとならよいですよ♪」
「この欲張りが!……ちょっとなんてケチな事言わないで、半分よこせ!」
「わかりました……ただし!絶対に半分までですよ!」
「わかった♪わかった♪……じゃ、遊び道具を取り返して来よう♪」
そう言うと呂布は先程戟を投げ付けた方へ向き、腰に差した剣に手をかけました……
すると雑魚達は、モーセがエジプト軍から逃れるために起こした『葦の海の奇跡』で海が割れたように、道を開けて呂布の戟が刺さった幹部までの道が開け[ひらけ]たのでした……その開けた道を呂布は堂々と歩き、戟を引き取りに向かいます……
(張遼が様付けするなんて、呂布って奴は、よっぽど強いのか?)
(さぁ?……お前、試してみろよ!……今なら奴は戟を持ってないしチャンスじゃないか?)
黄巾賊の雑魚二人が、ひそひそ声で話してます……その会話が聞こえたのか呂布は二人の方を鬼のような形相で睨むと二人は俯いてしまいました……その二人の横を通り、戟を手にします……
「まだ使い慣れてない戟だが、この戟を手にすると、なぜかしっくりと手に馴染む……この戟は、俺に使われるために造られたようなものだな♪……では、完全に使いこなせるように、もうひと暴れしようか♪……張遼、お先に♪」
戟を手にし、感傷に浸っていた様子だった呂布が、突然、ひそひそ話をしていた二人のうちの一人の眉間を戟で刺し貫きました……その突きは速く重く、戟の穂先は眉間を貫き、後頭部を抜け、眉間~頭部を貫き通してしまったのです……
この威力は呂布本人も予想外だったようで、戟は深々と刺さり、呂布の力でも引き抜けない程でした……しかも周りは雑魚とはいえ、数百の敵兵に囲まれています……
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