初陣

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(ヤバイ……このまま戟から、こ奴が引き抜けなければ、周りの雑魚に襲われても、頼みの戟が使えない……どうする呂布!落ち着け呂布!お前はできる子だ!) 呂布の見事な突きの副産物として、戟から刺した相手が引き抜けない異常事態になり、呂布は焦りますが、周りに悟られまいと平静を装いながら、押したり引いたりしながら、なんとか引き抜こうと必死でした……周りの雑魚達は、そんな呂布を恐れて手出しが出来ぬままでしたが、戟に突き刺された兵の相棒が仇を討とうと、呂布に襲い掛かります…… (チッ!……この忙しい時に……) 呂布は面倒くさいと思いながら、まだ敵兵が突き刺さったままの戟を振り回し、突進して来た兵と兵の頭を激突させました……二人の兵は倒せましたが、しかしまだ戟から敵兵は抜けません…… (このままじゃ、戦い難い[にくい]ったら、ありゃしない……どうすれば抜ける?) 突然呂布は、戟を勢いよく振り上げ、突き刺さったままの敵兵も戟と一緒に舞い上がり、呂布の頭上を過ぎた辺りで勢いよく戟を引き抜きました…… すると、ようやく戟から敵兵が戟から抜け、敵兵はそのまま呂布の後方へ吹き飛ばされたのです…… その呂布の姿は、まさに鬼神……周りを取り巻いていた敵兵達も、次の犠牲者は自分?と、考えると争って逃げ出しました…… 「おいおい……ようやく戟が自由に使えるようになり、これからって時なのに……誰も俺の相手する奴がいないのか?」 「もう充分でしょう♪……今の逃げ出した敵兵と、後方の敵兵と同士討ちもする事でしょう……初陣にしては申し分ありませんでした♪」 「陳宮!お前は軍師なのに前線に居ていいのか?……前線は危険なんだから、本陣で留守を守らなきゃ駄目だろう!」 「ほ、本陣なんて設けてないし……仮に設けてたとしても守備兵も居ないんだから一人じゃ淋しいし……ってか、危険だし……だからみんなと一緒に前線にいたほうが逆に安全でしょう?」 「そうだったな……早く本陣を構えるだけの軍隊にしたいな?」 「ですね?……でも、そうなったら総大将の呂布様には、本陣に詰めてもらうようになりますね?」 「そ、それは困る!……総大将たる者は最前線に立ち、兵達を鼓舞するのも大切な仕事だ!」
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