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「さて……とりあえず当面の敵は蹴散らしましたが、まだ数千の敵が無傷で残ってるはず……今頃、逃げ出した敵兵の口から、呂布様や張遼殿の恐ろしさが伝わってる頃だと思います♪……この勢いのまま残りの敵兵も蹴散らし、敵が篭ってるアジトも落としましょう♪……そのためにも兵をまとめて、急ぎ追撃する必要がありますね。」
その頃、呂布の強さを目の当たりにして逃げ出した黄巾賊の雑兵達は、まだ状況を把握していない後方の兵達と接触しました……
「何者だ?……んっ?味方か?」
後方の陣の隊長が、前方から押し寄せる味方の兵を不信に思い、数百の兵を構えて待ち構えていました……後方の兵は迎撃準備が整っているようです……
「逃げろ!……化け物が来るぞ!張遼を配下にした呂布なる化け物が数万の兵を率いて襲い掛かって来る!」
敗走した兵は『自分は悪くないけど、敵が強大でやむを得ず逃げたんだ!』みたいな感じで、自分を正当化するために話をデカくして後方部隊に報告しました……
「それほどの軍隊を敵は急に準備したのか?……しかし、俺達も逃げ出したら、この黄巾軍も壊滅的被害を被ってしまう……俺達が殿[しんがり]を引き受けるので、お前達は後方の陣に伝え、急ぎ退却の準備をいたせ!」
「か、かたじけない……」
後方の陣の隊長は冷静でした……この隊長も、もうちょっと取り乱してくれれば、楽に勝てたのにぃ~っ!……いや……困難が多ければ多い程、乗り越える壁が高ければ高い程、呂布の伝説も凄いものになるので、ここは呂布と張遼に頑張ってもらいましょう♪
「呂布様!全ての敗走兵が敵の後陣に逃げ込むと敵に迎撃態勢を取られて厄介です!……そろそろ追撃を開始しましょう!」
敗走兵の半分程の兵が後陣に逃げ込んだので、慌てて呂布に指示します……
「うむ!……張遼!ヌシが敗走兵に紛れて後陣に突入しろ!」
「承知っ!」
張遼は騎馬兵を率いて敵の敗走兵に紛れます……
その時、敵の後陣の門は閉じられ、仲間であるはずの敗走兵や、それに紛れて突入しようとした張遼率いる騎馬兵に矢を雨のように射かけて来たのでした……
「ぬぉ~っ!」
張遼の悲鳴が前線から聞こえてきました……
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