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呂布は、ついさっきまで敵だった者にも『協力してくれ!』と、頭を下げました……敗走兵達にすれば、このままでは仲間の矢に射られるのを待つか、戻って呂布に殺されるか……っと、思っていたところで、まさかの呂布の降伏勧告……しかも投降兵に向かって『協力してくれ!』など、頭を下げるなど思いもしなかったようで、投降兵一堂涙を流し、呂布に忠誠を誓ったようでした……
「この先陣にも、お前達の鎧や武器が有るのか?」
呂布が着の身着のまま手には槍だけを持った投降兵の一人に聞きます……
「ございます……呂布様の急襲を受け、このような出で立ちで飛び出して参りましたが……」
「うむ!……張遼!」
「はっ!」
「お前は、この投降兵達が支度を終えるまで休憩がてら待っておれ……支度を終えたら投降兵を指揮し、俺に続いてくれ!……陳宮!お前もだ!」
「はっ!」
張遼は短く返事をします……私は呂布に付き従えない事が不満で膨れっ面になります……
「陳宮?……不満か?」
「はいっ!不満ですね!……張遼殿は先峰とし戦い続け、疲れてるでしょうし、投降兵の皆さんを指揮するには、適材適所で申し分ありませんが、僕は戦いにも参加せず、ここで呂布に……呂布様に付き従わず、いつ付き従えるのですか?」
「ここからの戦場では矢の雨が降り注ぐだろう……俺自身の身は守れても、陳宮……お前の身まで守る自信がないのだ……」
「矢や槍が怖くて軍師は務まりません!」
「陳宮……先程お前は適材適所って言ったな?……お前を危険な戦場に連れ出さない事こそが適材適所じゃないのか?」
「………」
「張遼や俺は前線に出て、立ち塞がる敵を倒し続ける……陳宮は、その戦いの準備や作戦を練る……張遼や俺には出来ない仕事だ……」
「呂布……呂布様……わがまま言って申し訳ありませんでした……呂布様こそ総大将なんですから気をつけてください!……張遼殿、お荷物でしょうが、よろしくお願いします!」
「軍師殿……呂布様のおっしゃる通り、陳宮殿は我が軍になくてはならない方です♪……前線で奮戦するのは呂布様や俺の仕事……陳宮殿は軍師として、これからも我々にご指導くだされ♪」
「張遼殿……」
「陳宮……心配するな!あんな奴等、すぐに蹴散らしてくれようぞ!」
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