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「あいつにだけは、近寄らない方がいい」
「あいつ?」
「『自分の死を人のせいにして、自分の自殺を正当化させようとした』奴、だったかな」
「…え?」
長谷川は、窓際の方をこっそり指差した。窓際は僕らの位置からすると真反対だから、正直そこにいる人の顔はよく見えないし、誰を指しているのかもわからない。ただでさえ僕は目が悪いのに。でも、少し迷った後に誰のことを話しているのかがわかった。
「……あの、前髪が長めの?」
「そう、ビンゴ!」
長谷川は格好つけて指を鳴らすポーズをしたが、残念ながら音は鳴らなかった。
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