ぜろ

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長谷川と川口君が昨日のテレビの話題をしている間、改めてクラス全体を見回してみた。体育館に行くまでの暇な時間。それぞれが自由に過ごす一時。中には冬休みの宿題を写させてもらっている人もいた。 ここには、あの見慣れたボロの棚はない。みんなで作った目標の紙もない。あいつと喧嘩して開けた壁の穴もない。そして、誰もいない。 はあ、と気付かれないようにそっと溜め息をつく。 再び顔を上げれば、例の男子と目があった。自殺を他人のせいにして何たらかんたら。長い前髪が何とも不気味で、思わず鳥肌が立った。
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