ぜろ

6/20
前へ
/20ページ
次へ
この時、僕は不思議な感覚に陥った。こんなにたくさんの知らない人達の前で、こうして僕だけ紹介をする機会、他にあるだろうか。 相手の、多数の人達はいいさ。知らないのは僕の事だけだから、知らない僕について知って、それで解決。 でも僕は? 僕は、自分の事を言わされた挙げ句に、相手の事は何一つわからない。こんな理不尽な自己紹介をする機会、他にあるだろうか。 「というわけで、今日からこのクラスの一員だ。みんな仲良くな」 担任の声ではっとする。気が付けば、背後の黒板には僕の名前が書かれていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加