旅立ち

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「遅い!約束の時間はとっくに過ぎてるじゃない!」 ゲオルグが馬車で迎えに行くと、モニカが怒りの声で迎えた。 彼女はモニカ・リヒテンシュタイン。背後にあるリヒテンシュタイン大公家の娘だ。ゲオルグのガルデマイスター大公家と併せて、クラウゼヴィッツ王国の二大貴族と称されていたりする。 「悪い、出掛けに兄貴たちに捕まって忘れ物は無いかとか、病気に気を付けろとか言われてさ。そんな事してる間にヴェル姉まで来て楽隊に演奏させ始めるしで大変だったんだよ。」 ゲオルグの弁解に、 「そんなの分かりきってる事じゃないの。事前に対処しときなさいよ。」 そう言われてゲオルグはモニカの周りを見回して、 「そういえば、シュナウザーは?いつもだったら『モニカをこんなに待たせるとは何様のつもりだ!モニカ、今からでも遅くない。兄さんが貴学院への入学手続きをしてやるから一緒に貴学院に行こう。』とか言うはずだろ?」 ゲオルグがモノマネを交えて言うと、 「だから事前に対策しておいたの。今頃はファンの娘達に追いかけ回されてるはずよ。」 と、説明してくれる。
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