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「流石、ヴェル姉。」
「陛下、王が軽々しく城を出るものではありません。」
女性の言葉にゲオルグが応えるのと怜悧な雰囲気を持った青年が即座に反対するのは同時だった。
「冒険者を目指す者達を激励しに行くという事にすれば良かろう。留守中はお前がいれば問題ない。」
陛下と呼ばれた女性が切り返すと、
「なら俺は陛下の護衛として付いていかなきゃならないな。」
と、武人然とした青年が嬉しそうに言う。
「アドルフ、お前はなんで嬉しそうなんだ?」
怜悧な青年が頭痛を堪えるように額に手を当てて呻く。
「そりゃあ、可愛い弟に会いに行く大義名分が出来るからに決まってるだろ?悔しかったらヨハン兄貴も講演でもしに行ったらどうだ?」
アドルフがそう返すとヨハンは少し思案し、
「それもそうだな。では陛下、私が行く時は陛下がお留守番です。」
と、女王に告げる。
「嫌に決まってるであろう。その時はその時で妾も講演を見に行くという名目で一緒に行く。どうしても駄目だというなら王の権限で学校を城下に移す。」
女王は女王で突拍子も無い事を言い出す。
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