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テストというものは全ての学生に例外なくやって来る。
それは不良のレッテルを貼られた俺も含まれる訳だが、何故今俺は目の前に居る黒髪のワンレン少女と向かい合って勉強しているのだろうか。
「先生に頼まれたからに決まっているからじゃないですか」
ただ、少し睨みつけただけなのだがまるで蓮井は俺の心を読んでいるかの様に答えてくる。
「黙れエスパー少女」
「エスパーじゃありませんよ、貴方の顔がそういう怒気を孕んでいたので。さぁ早く終わらせて帰りましょう」
俺の殺気をまるでそよ風の様にしか感じてないらしい。
今まで散々後ろから付いて来ては喧嘩に巻き込まれそうになったっていうのにまた懲りずに俺と一緒にいるこの少女はどんな肝の座り方をしているんだ。
普通じゃねぇよ。
テスト勉強は終始一貫、テスト範囲の中から蓮井が『出て来る』と予想を立てた場所に絞り込み、徹底的に頭に叩き込む作業が続いた。
「まぁ、付け焼き刃ですけど明日のテストはきっとこれで大丈夫ですよ」
皮肉にもその言葉通り、翌日の五科目のテストは平均約90点を越える結果となった。
ことごとく蓮井の予想範囲が当たったのだ。
教師からの、カンニング疑惑の視線が痛い事もさることながら、この時ばかりは蓮井の鋭い感性に肝を潰す。
ただ勉強が出来るだけって訳じゃないな、アレは。
やっぱり、エスパーなんじゃねぇか?
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