始まりの出会い~追憶~

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これは、俺が中学三年の夏頃の出来事だ。 この頃の俺はケンカ三昧の毎日を過ごしていた。 大体が俺の噂を聞き付けて因縁をつけてくる不良の輩で、その全てを相手にしてきて蹴散らしてきた。 2~3人相手なら余裕だが、流石に10人もいっぺんに来られた時は少しビビったな。 劣勢に回る事もよくあったが、負けた事はない。それが唯一の自慢だった。 擦り傷や痣などの怪我が日に日に多くなっていたが、そんな事は大した事じゃなかった。 こんな感じの日々が俺の日常であり、多分、高校に上がってもこんな感じに過ごしていくのだと思っていた。 あの少女と再会するまでは…。 それは、俺が上之北の繁華街を宛もなくブラブラしていた時の事。 宛もなくとは言ったが、それは最近に限った事のようにも思う。なぜなら、ちょっと前までは毎日、頻繁にこの繁華街の通りを歩いていれば、頼んでもいないのに、クソみたいな不良共がケンカを吹っ掛けてきていたからだ。 それが最近では、無くなってきている。勿論、今までに相手にしてきた不良共がこの界隈から居なくなった訳ではない。 その証拠に、歩きながら周囲をよく見ると、そんな不良共が俺の顔を見ただけで、ビクビクと縮こまっている様子や、何をする訳でもなく、ゲーセンやコンビニなどの建物の中へと逃げていく姿があった。 まったく、情けねぇ奴らだ…。 そう思いながら、ここに用の無くなった俺は、手提げ鞄を肩に回すと、自宅のある西区の附締に向かうため、最寄りの駅を目指した。
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