第二節

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終業式が終わった。 ショートホームルームも終わり、あとは家に帰るだけ。 目の前には、特大の休みが寝転がっている。 三年生は受験に向けての大事な時期だけど、一年生の私には関係無い話。 夏休みは、思いっきり遊ばなきゃ。                「あっついなぁ……」 昇降口を出ると、強い日差しと熱気が私を襲った。 どう考えても太陽は頑張り過ぎている。少しは休めばいいのに。 「この中を帰るのは億劫だな……」 愚痴っていても仕方ない。 手で日差しを遮りながら、私は歩き始めた。                「よっ」 校門を出ると、真君に声を掛けられた。 Yシャツ姿の真君は何だか新鮮だった。 「遅かったな。もう少しで食べ頃に焼き上がるところだったぞ」 Yシャツを第二ボタンまで開けて、手で風を送り込んでいる真君。 いつもは一緒になる事なんて無いのに、今日は一体どうしたんだろう。 「どうしたの?何か用?」 「まぁ用事って言うかな、遊びのお誘いだ。午後暇か?」 私から誘う事は何度かあったけど、真君から遊びに誘ってくるなんて滅多に無い事。 何かあるじゃないでしょうね。 「特に予定は無いけど……。何か裏があるんじゃないでしょうね?」 「何だ?その妙な疑りは」 真君は笑いながら言った。 「終業式がうちの学校と同じだったからさ。たまにはいいかな、と思っただけだよ」 そういう事らしい。 「で、どうなんだ?嫌なら別にいいんだけど」 「嫌な訳ないでしょ?」 むしろ大歓迎なんだけど。
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