第二節

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遊ぶって言っても、特別な事をやった訳じゃない。 商店街に繰り出してファーストフードで昼食をとって、ウィンドウショッピングをしたり、ゲーセンに行ったり。                ゲーセンでは、真君がキーホルダーを取ってくれた。コンビニキャッチャーの景品だったものだ。 私が何回やっても取れなかったのに、真君は一回で取ってしまった。 他のゲームの腕前を見ても、真君はどう考えても通っているとしか思えない。 いつの間に通っていたんだろう。                楽しい時間はあっという間に過ぎていった……。                暑い日差しも少しは緩んで、月と太陽が交代する時間。 目に見えるもの全てが赤く染まっている。 太陽は明日も元気そうだ。 私たちは、通いなれた海沿いの道を歩いていた。                「赤く焦げてるみたいだな。煙が出そうだ」 真君は、空を見上げながら言った。 「面白い事言うわね」 私も見上げる。 目の前に広がる、真っ赤に染まった空。 本当に煙が出そうだった。 「ふふっ」 自然と笑みがこぼれてしまう。 「何だよ」 真君は照れているのか、怒ったように言った。 「そう思ったから言っただけ。いいだろ?別に」 「怒らないでよ」 顔が赤く見えるのは、夕日のせいだけじゃ無さそうだ。 「それにしても、今日は楽しかったわ。また誘ってね」 真君と遊んだのは本当に久しぶりだった。 意外な発見もあったし、本当に楽しい時間を過ごせた。 誘ってねって言っちゃったけど、今度は私から誘おうかな。 「……」 いつの間にか、真君が足を止めていた。 「どうしたの?」 私が訊いても、何も答えない。 下を向いたまま黙っている。 「具合でも、悪いの?」 「……あのさ」 顔を上げる真君。 その顔には、何か決意したような色が見えた。 「もう、遊びには行けないんだ」                ……えっ?                意味が分からない。 遊びに行けないって、一体どういう事? 「俺の父さんが、シンガポールに転勤する事は知ってるな?」 私は頷く。 その話ならお母さんから聞いていた。 引っ越しのトラックも何度か見かけた事がある。 でも、それが関係あるの? 私の疑問に答えるように、真君は言った。 「あれな、家族みんなで行くんだよ」
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