第二節

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                              頭の中が、真っ白になった。 真君が居なくなる? 物心ついた時から一緒だった真君が居なくなる? 今まで優しく見守ってくれた真君が、居なくなる? そんな事、考えられなかった。 「本当はもっと早くに言うべきだった。ごめん」 頭を下げる真君。 「……いつ、出発なの?」 他に訊くべき事があったかもしれない。 でも、他の事は考えられなかった。 真君は頭を下げたまま、小さな声で言った。                「明日なんだ。だから今日、遊びに誘ったんだよ……」                               明日。 明日になれば楽しい生活は終わってしまう。 明後日からは、真君の居ない生活が始まる。 その生活が一体どんなものになるのか、見当もつかない。 違う。 見当がつかないんじゃない。 考えるのが嫌なんだ。                「……なんで」 声が、震えていた。 「なんで、もっと早く言ってくれなかったの……?」 「……ごめん」 真君は下を向いたまま、謝るばかり。 「ごめんじゃないわよっ!!」 感情を抑えられなかった。 「なんでそんな大事な話、もっと早くにしてくれなかったのよ!?私にだって心の準備があるんだよ?突然そんな事言われて、はいそうですかって納得出来るわけ無いじゃないっ!勝手な事言わないでっ!!」 違う。 勝手な事を言っているのは私の方だ。真君は悪くない。 だけど今は、悲しさと寂しさと怒りが混ざった訳の分からない感情を、真君にぶつけるしかなかった。 「……ごめん」 真君は、ただただ謝っていた。                「馬鹿っ!!」                そう叫んで、私は駆け出した。 真君の制止も聞かずに。 とにかく一人になりたかった。                泣いている顔を、 見られたくなかった……。
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